『アメリカの恩寵』掲載図表のジャンル別分類リスト

『アメリカの恩寵』の [内容紹介] [リンク集] [正誤表]に続くポストです。

本書の二大特徴は、宗教という観点からみたアメリカ社会の特徴に関わる膨大なデータ・図表類が全体にわたって収録されていることと、各地域のさまざまな教会の詳細な内部ルポである「挿話章」にあると思います(第2・7・10章:これらに図表はありませんが読解にリンク集をご利用ください)。

前者については、本文/エピローグ/補遺1・2で全部で図が120、表が12掲載されています。これら図表類の大半について、ジャンル別に変数や比較、掛け合わせの切り口等の短い解説を付して分類したものをこのページで示します。

前半の4つ(「アメリカ人の宗教信仰」〜「宗教信仰の変更」)が、宗教性や宗教行動そのものについての図表で、後半が「○○と宗教」に関わる図表です。特に後半については、社会関係資本(ネットワークや信頼、社会参加など)、政治行動、ジェンダーやエスニシティなどの各領域の諸変数が、アメリカ社会においてどれほど宗教的な色合いを持つのかを読み取ることができます。これらのテーマに関心ある方にとって、さまざまな知見や議論におけるアメリカという文脈について理解するための貴重なデータ集に本書はなっていると思います。

以下、「宗教性」とは調査対象者の宗教的信奉の程度(いわば信心の強さ)をスコア化したものを指します(p.24)。6項目の因子得点で「礼拝出席」はその一部です。「宗教系統」とは本書で用いた宗教分類です(p.18)。一部のみで比較している場合、単に「教派」ともしています。

おおよその整理で公開したため、本ページについては随時修正を行っていきます。


アメリカ人の宗教信仰(所属・宗教性・出席等) →主に第1章

  • 礼拝出席の国際比較 →図1-1
  • 宗教系統別の所属比率 →図1-2
  • 宗教系統別の宗教性比較 →図1-3
  • 宗教性のデモグラフィック比較(人種・年齢・性別・居住地・所得) →図1-4
  • 宗教性高低の各州分布 →図1-5

宗教礼拝出席の時系列変化 →主に第3・4章

  • 全体 →図3-2(GSS: 1972-)、図3-5(Gallup: 1939-)
  • 世代別 →図3-1
  • 大学新入生のみ →図3-3
  • 親との比較 →図3-4
  • 年齢区分別 →図3-6、表E-1(パネル)
  • 教育水準別 →図4-3
  • 宗教系統別 →図4-4、図4-5、図4-6
  • 「宗教なし」増減 →図4-2、図4-10(「出席なし」と対比)、図4-11(世代別)、図4-12(大学新入生)、図4-13(「福音派」と対比、若者のみ)、表E-1(パネル)

宗教観等の時系列変化

  • 「聖書字義主義」増減 →図4-7
  • 宗教指導者の政治的影響賛否 →図4-9
  • 女性聖職者受け入れ(宗教系統別・時系列) →図8-3
  • 宗教における女性の影響力(宗教系統別) →図8-4
  • 「宗教の影響力」評価の時系列変化 →図E-2

宗教信仰の変更 →主に第5・6章

  • 切り替え率(宗教系統別) →図5-1(+「棄教率」)、図5-2(世代別維持率)
  • 「結婚事由による切り替え」時系列 →図5-3
  • 異宗間結婚 →図5-4(時系列)、図5-5(「賛成」時系列)、図5-6(「反対」世代別)、図5-7(「反対」宗教系統別)、図5-8(異宗間結婚率:宗教系統別)、図5-9(異宗間結婚率:世代・宗教系統別)
  • 会衆への満足度 →図6-1
  • 会衆選択理由 →図6-2

価値観等 →主に第4・8章

    • 性・ドラッグ等 →図4-8(福音/非福音派の時系列)、図4-14(若者の時系列)、図4-15(大学新入生の時系列)、表E-1(パネル)
    • ジェンダー →図8-1(女性就労の時系列・教会出席比較)、図8-2(伝統的性役割観:時系列・教会出席別比較)
    • 貧困と政府の役割 →図8-6(宗教性との関連)、図8-7(宗教系統別)、図8-5(所得格差自体の時系列変化)
    • →加えて「政治的態度・行動」(中絶・同性婚)、「宗教観等の時系列変化」(女性)等も参照

    エスニシティ →主に第9章

    • 全米の地理分布 →図9-1(ルター派)、図9-2(ドイツ系)、図9-3(スカンジナビア系)、図9-4(カトリック)、図9-5(イタリア系)、図9-6(ラティーノ)、図9-7(「アメリカ人」)、図9-8(福音派)
    • エスニシティと宗教の重要性の連動 →図9-9、図9-16
    • 黒人プロテスタントの宗教性(主流派・福音派との比較) →図9-10(出席・意識面)、図9-11(行動面)、図9-12(出席:学歴別)、図9-13(字義主義的宗教観)、図9-14(投票行動)
    • ラティーノ系カトリック・福音派の宗教意識(白人との比較) →図9-15
    • カトリックに占めるラティーノ系(年代別) →図9-19
    • ラティーノ系カトリックの伝統的道徳・宗教観(白人との比較) →図9-20
    • エスニックアイデンティティの強さと宗教継承 →図9-16
    • 会衆の人種多様性(宗教系統間比較) →図9-17
    • 会衆多様性の予測要因 →図9-18
    • 会衆多様性と友人多様性の相関 →図9-21
    • レイシズムの時系列変化・教派別 →図9-22(結婚)、図9-23(能力観)、図9-24(住居差別)

    政治的態度・行動 →主に第11・12章

    • 政党支持と宗教性 →図11-1(2006年時点クロス)、図11-2(相関の時系列変化)、図11-3(相関の世代差)、図11-4(教会出席×教育水準パターン別の時系列変化)
    • 各種争点態度と宗教性 →図11-5
    • 中絶・同性愛への態度と政党支持の相関の時系列変化 →図11-6
    • 中絶・同性婚への賛否と争点重要性評価の不均衡 →図11-7(中絶)、図11-8(同性婚)
    • 政党の宗教的傾向評定 →図11-10
    • 中絶・同性婚の受容と世代差・時系列変化 →図11-11(同性婚)、図11-12(中絶)
    • 教会内政治活動の宗教系統間比較 →図12-1
    • 教会内政治活動と政治的イデオロギー →図12-2
    • 政治的動員の経路(教会と他経路の比較) →図12-3
    • 政治と宗教の結びつき方(個人vs教会)の宗教系統による違いと政党支持の関連 →図12-4
    • 「ティーパーティー」支持の予測要因 →図E-5

    社会参加・信頼 →主に第13章

    • 組織参加形態(教会と他の比較) →図1-6
    • 社会参加と宗教性の相関 →図13-1(世俗・宗教的ボランティア行動)、表13-1(ボラ種類別)、図13-2(寄付)、図13-3(市民参加)
    • 市民的道徳と教会出席(他の伝統的道徳観含む) →図13-2
    • 信頼(宗教的・非宗教的な人への)と宗教性 →図13-4
    • 利他的価値と宗教性 →図13-5
    • 社会的信頼と宗教性・根本主義 →図13-6
    • 社会的信頼と神の性格認識(愛vs裁き) →図13-7
    • 宗教的な社会的ネットワークと市民参加 →図13-8
    • 加えて「社会的分断・統合」(対人ネットワークの宗教多様性)等を参照

    寛容性、社会的統合・分断 →主に第14・15章

    • 市民的自由・寛容性 →図13-4(全般的高さ)、図13-9(時系列変化)、図13-10(無神論・根本主義の教師に対する)、図13-11(反宗教に対する、時系列)、図13-12(同性愛言論、時系列)、図13-13(反宗教に対する、世代別・時系列)
    • 権威への評価(子育てにおける従順vs自律)と宗教性 →図13-14
    • 宗教の社会的評価(の全体的高さ) →図14-1
    • 「善悪の絶対的指針」と宗教性 →図14-2
    • 宗教的・非宗教的な人間に対する評価と自身の宗教性 →図14-3(不寛容性について)、図14-4(利己性について)
    • 各教派集団等に対する感情温度計比較 →図14-5(自教派)、図14-6(他教派)、表14-1(教派間クロス)、図E-3(非宗教者・無神論者、年齢区分別)、図E-4(リベラル・保守派、ティーパーティー含む:図14-6アップデート)
    • 異宗教の受け入れ →図14-7(宗教性との相関、対大規模教会・仏教寺院)、図E-6(政党支持との相関、対大規模モスク・仏教寺院)
    • 宗教多様性評価(の全体的高さ) →図15-1
    • 対人ネットワークの宗教多様性 →図15-2(近隣・家族)、図15-3(親友)、図15-4(宗教系統間比較)
    • 異信仰者の救済に対する宗教系統間比較 →図15-5、図15-6(非クリスチャン含む)
    • 排他的な信仰 →図15-5(その少なさ)、表15-1(特性)、図15-8(宗教系統間比較)
    • →加えて「エスニシティ」(会衆多様性)も参照

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