投稿

2019の投稿を表示しています

『アメリカの恩寵』掲載図表のジャンル別分類リスト

『アメリカの恩寵』 の  [内容紹介]   [リンク集]   [正誤表] に続くポストです。 本書の二大特徴は、宗教という観点からみたアメリカ社会の特徴に関わる膨大なデータ・図表類が全体にわたって収録されていることと、各地域のさまざまな教会の詳細な内部ルポである「挿話章」にあると思います(第2・7・10章:これらに図表はありませんが読解に リンク集 をご利用ください)。 前者については、本文/エピローグ/補遺1・2で全部で図が120、表が12掲載されています。これら図表類の大半について、ジャンル別に変数や比較、掛け合わせの切り口等の短い解説を付して分類したものをこのページで示します。 前半の4つ(「アメリカ人の宗教信仰」〜「宗教信仰の変更」)が、宗教性や宗教行動そのものについての図表で、後半が「○○と宗教」に関わる図表です。 特に後半については 、社会関係資本(ネットワークや信頼、社会参加など)、政治行動、ジェンダーやエスニシティなどの各領域の諸変数が、アメリカ社会においてどれほど宗教的な色合いを持つのかを読み取ることができます。これらのテーマに関心ある方にとって、さまざまな知見や議論におけるアメリカという文脈について理解するための貴重なデータ集に本書はなっていると思います。 以下、「宗教性」とは調査対象者の宗教的信奉の程度(いわば信心の強さ)をスコア化したものを指します(p.24)。6項目の因子得点で「礼拝出席」はその一部です。「宗教系統」とは本書で用いた宗教分類です(p.18)。一部のみで比較している場合、単に「教派」ともしています。 おおよその整理で公開したため、本ページについては随時修正を行っていきます。 アメリカ人の宗教信仰(所属・宗教性・出席等) →主に第1章 礼拝出席の国際比較 →図1-1 宗教系統別の所属比率 →図1-2 宗教系統別の宗教性比較 →図1-3 宗教性のデモグラフィック比較(人種・年齢・性別・居住地・所得) →図1-4 宗教性高低の各州分布 →図1-5 宗教礼拝出席の時系列変化 →主に第3・4章 全体 →図3-2(GSS: 1972-)、図3-5(Gallup: 1939-) 世代別 →図3-1 大学新入生のみ →図3-3 親との比較 →図3-4 年齢区分別 →図3-6、

『アメリカの恩寵』正誤表

ロバート・D・パットナム/デヴィッド・E・キャンベル(柴内康文訳)『アメリカの恩寵』柏書房(第1刷)において、以下の誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。 ※誤植、および近傍の表記不統一を修正するものです。本表は随時更新します。 場所 誤 正 備考 p.51左6行 ラ・ファージ ラファージ 中黒トル pp.268-271 (図9-3〜図9-6) 割合 比率 4カ所 p.309(図9-21) 民族 エスニシティ 2カ所 p.314 (図9-24) 「大半の黒人は生来の学習能力が低い」と信じる割合 住宅販売における差別を容認する法律に賛成する割合 図9-23と重複 p.470(図13-8) イデオロギー特性 イデオロギー的特性   p.559 (図E-3) ずっと冷たい。 ずっと冷たい 句点トル 扉・奥付 Putnum Putnam 3カ所 奥付 『われらの子ども』(創元社、2018年) 『われらの子ども』(創元社、2017年)   (2019年5月20日現在)

『アメリカの恩寵』読解のためのリンク集

[← 内容紹介] に続くポストです。 『アメリカの恩寵』 翻訳作業中、具体的なイメージを理解するためにオンライン上のリソースをさまざまに利用しました、とりわけ「挿話」章で会堂の内外等の描写が詳細な箇所についてはオンライン上の情報に助けられました(各教会の地理的分布は リンクの通り :Google street viewで周辺を実際に見て回るのも有益でした)。本書を読み進めるにおいてイメージ把握に役立つと思いますので、利用した特に参考になるものについて下記にリンクを示します。今後も随時更新するかもしれません。 第1章 アメリカにおける宗教的分極化と多様性 [p33] John Mellencamp "Small Town" (1985) [YouTube]    (lyrics) 第2章 挿話―古きものと新しきもの コンコード/トリニティ教会 [p45] 入り口の木製十字架と屋根、左手に旧チャペル[Google Street View] [p46]  内部:ステンドグラス、アーチ天井、十字架等[公式] ボストン/トリニティ教会 [p51, p54] 内部・外観[Wikipedia] [p51] ラファージのステンドグラス[ボストンカレッジ・マクマレン美術館] [p58] 「Top 10 Reasons To Be Episcopalian」(オリジナルはロビン・ウィリアムズによる)   [内容の解説例] サドルバック教会  [p61] キャンパスマップ[公式]   第6章 宗教におけるイノベーション [p181] キリスト合同教会(UCC)のキャンペーンCM   "Bouncer"[YouTube] 第7章 挿話―エスニシティ、ジェンダーと宗教 ヒューストン/救世主ルーテル教会 [p185] ドレスデン聖母教会 [Wikipedia] [p187]  会堂内部の様子[公式] ボルティモア/ベテルAME教会 [p201] 会堂内部・ 正面絵画[CBS Baltimore] [その他CBS Baltimoreの関連クリップ] シカゴ/聖ピウス五世教会 [p214, 216] ビルの壁画・「ラヴァンデリア」(ランドリー)、右手後方に教会 [G

ロバート・パットナム/デヴィッド・キャンベル『アメリカの恩寵』刊行について

ロバート・パットナム/デヴィッド・キャンベル共著の 『アメリカの恩寵』 が柏書房より拙訳で2月に刊行されます。リリースが始まり、それはどのような本なのだ、とお考えの向きもいらっしゃるかと思います。いち早くそれを日本語で何回か読んだ(?)私としては、その位置づけなどご案内することも仕事かと感じますので、あとがきよりも少しくだけ専門的になりすぎないように、簡単に解説させていただきます。 ご関心お持ちいただけたら幸いです(なお、随時追記や修正をするかもしれません)。 ※関連ポストに、 [読解用リンク集]   [図表一覧]   [正誤表] があります。 はじめに 原題は"American Grace: How Religion Divides and Unites Us"です。2010年に刊行、2年後にペーパーバック版が出ており、その間に行われた調査も含めた増補がなされています。翻訳にはその部分も含んでいます。 本書について端的に言えば、現代のアメリカ宗教と社会に関する本、です。宗教ということになると、それを専門としたり関心お持ちの方以外では、少し方向性が…という場合もあるかもしれません。以下では、著者の一人パットナムの本 『孤独なボウリング』 、 『われらの子ども』 に関心をお持ちの方、たとえば社会関係資本に関心をお持ちの方にどのような意味があるのか、ということも特に意識して記したいと思います(本書は時間的には、両書の間に出版されました)。なお、本書は アメリカ政治学会のウッドロウ・ウィルソン基金賞 を2011年に受賞しています。 著者について パットナムについてはご存じの方も多いでしょう。キャンベルはパットナムの指導でハーバードで学位を取得した政治学者で、現在ノートルダム大学教授です。なお本書の第1章末では、この二人の宗教的背景も語られます(なかなかそういうパーソナルヒストリーを書籍で見ることは少ないと思います)。パットナムについては『われらの子ども』においてその成長時代の背景も絡めて語られていたわけですが、今回の人物背景も本書、またこれまでの書籍に関わってくる部分があります。 読みどころ1:アメリカ社会と宗教信仰 さて、アメリカは宗教的な国家、とよく語られます。建国のルーツにそれが関係しますし、政教分離が言われる一方で